枯れる植木と育つ植木
植木に限らず殆どの植物は、根から水分と養分を吸収し、葉から酸素や水分を放出しています。

このバランスが崩れると当然のことながら成育に支障をきたし、すぐには枯れませんが徐々に『枯れ』が発生します。

『根巻きの植木を買って帰り、植え方を聞いて丁寧に庭に植えたのに数日で枯れてしまった』

この原因の殆どが、これから説明する要因に当てはまるかと思います。
バランス良好
図1. 健全な植木
左のイラストは地植えで健全に生育している植木の根と葉の状態です。

葉の量を10としますと、根の量も10になっており

根と葉のバランスが10:10と正常になっています。

そして、根の先端の赤い部分が主に養水分を吸収している毛細根です。
バランスが崩れる
図2. 赤線で根を切る
図1の植木を左図のように赤の点線のところで堀上げて根巻状態にしたとします。

根と葉のバランスはどうでしょうか。

根が半分以下になったのに対し、葉は10のままです。

あきらかにバランスが崩れています。しかも養水分の吸収に必要な毛細根の大半が

無くなりました。バランスの数値は、根5:10葉としておきましょう。 

しかし直ぐには影響(枯れ)は出ません。
落葉や枯れ
図3. 傷みだした状態

図2のように 根と葉のバランスが崩れたまま数日間(1日〜3週間程度、樹種や季節により差異)

放っておくと根の養水分の補給が葉の蒸散に追いつかず、次第に葉が枯れ始めます。

この枯れは、植木も何とか生き延びようと自分で根と葉のバランスを取っているのです。

しかし樹種や時期・状態によってはこのまま枯れ死してしまうものもあります。

幸い生き延びられた植木も多大なダメージを負い、葉の量も半分はおろか、

3分の1以下の無残なものとなってしまいます。

バランス良好
図4. 根5:5葉の状態
上のようにならないよう、植替え・植付けの際に本物のプロは 根の状態を見極め、

時期や樹種を踏まえてから、必ず枝抜きをしてバランスを整えます。

これが植木屋の腕の見せどころでもあります。 しかし、植木の生産者は

少しでも植木のボリュームを多く見せるため、または時間の節約の為に

この枝抜きを殆ど施さずに出荷する場合が多いのです。

枯らすのは植木屋(植える人)が悪いという 分業意識もあるのかもしれません。
根付き始めた植木
図5. 細根の発根
GDPでは全ての植替え樹は、必ず図5のように根と葉のバランスをしっかりと整えて、

これからもっと良い樹形に順調に生育するように無駄枝・不要枝をしっかりと枝抜きして

樹形を整え、念押しに元気根っこを施して毛細根の発根を促してから、

お客様のもとにお届け致しております。

なお、根の出始めは輸送中の振動などで細根が切れ易いので補助紐などで

幹を固定してある場合もございます。 このひもは放っておくと成長に従い

紐がくい込んでいきますので到着の1〜2ヶ月後には必ず切り外して下さい。
サボテンや多肉植物など乾季を越す必要がある植物は葉からの蒸散を抑え、養分を体内に蓄えている為

何日も乾燥した状態で耐える事が出来ます。 しかし通常の植木や植物の場合は上記のように

根と葉のバランスすなわち需給バランスが、健全な生育に一番重要なポイントです。

ご参考にして頂ければ幸いでございます。
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